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ミの♯


ミの音に♯をつけると何が起こるでしょうか?「♯」は音を半音高くする記号ですが、ミの半音上に黒い鍵盤は無いです。なので、鍵盤楽器においてミの♯はファと同じ音になります。

なぜ簡単な「ファ」ではなく、わざわざ「ミの♯」という言い方をするのでしょうか。 これはいろいろな場合があります。

まず、飾りの音をきちんと表現したい場合。

ある音に、半音下の音を飾りでつけることがあります。

ドに対して半音下の音を飾りでつけると「ド、シ、ド」。

レに対して半音下の音を飾りでつけると「レ、ド♯、レ」。

ファ♯に対して半音下の音を飾りでつけると「ファ♯、ミ♯、ファ♯」。 この時ミ♯の代わりにファと書くと「ファ♯、ファ、ファ♯になってしまいます。 これだとファ♯に飾りをつけたというよりも、ファの音自身が変化したように見えてしまいます。それを避けるためにミ♯で書く場合があります。

また、調を正確に表現したい場合。

長調というのはドレミファソラシドみたいなやつです。

ドからはじまるハ長調以外にも、さまざまな音からスタートする長調があります。

ニ長調:レ ミ ファ♯ ソ ラ シ ド♯ レ

ホ長調:ミ ファ♯ ソ♯ ラ シ ド♯ レ♯ ミ

嬰へ長調:ファ♯ ソ♯ ラ♯ シ ド♯ レ♯ ミ♯ ファ♯ 嬰へ長調の七番目の音はミ♯です。 これをファで書くとこうなってしまいます。 「ファ♯ ソ♯ ラ♯ シ ド♯ レ♯ ファ ファ♯」 ファが最後に二つ続くと、音の階段という感じがなくなってしまいます。

また他にも、和音を正確に表現するためにミの♯を使うときもあります。

ド・ミ・ソという和音の全ての音に♯をつけると、ド♯・ミ♯・ソ♯となります。 これはド・ミ・ソと同じ種類の和音です。この時ミ♯の代わりにファを使うと、ド♯・ファ・ソ♯となって、ドミソと似ていることが分かりにくくなってしまいます。

ミ♯という書き方を使う時は、音の役割をきちんと表現するために使っているのだと思います。

音の役割というのはとても大事。音の役割を知るために理論はとても役に立ちます。

理論を勉強しなくても、音の役割をよく聞いて感じとることが出来ればそれで良いと思います。しかし感性ですくい取れない時もあるかもしれません。そんな時は理論がフォローすることでまた感性の幅が広がるでしょう。

理論は感性の幅を広げるためにあるのです。


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