ある曲を練習している時に、どうしても間違えてしまうところがあるとします。
そこを直すためにはまず部分的な練習をした方が良いとされています。左手を間違えるのならば左手を抜き出したり、5小節目を間違えるならば5小節目を抜き出したりして、その部分が出来るようになったら全体を通す。
ところが部分練習をやるのはなかなか難しいようなのです。曲を弾いていて、どこか間違えると一度そこでストップしてまたはじめから通そうとする生徒さんも多いです。自分自身のことを振り返っても、部分練習はあまり好きではありませんでした。ところどころ間違える状態だとしても、曲を通して弾くのはやっぱり楽しいことなのでしょう。部分練習だとその喜びが減ってしまいます。
それでも曲を弾くためにはやはり我慢して部分練習をする必要があるのでしょうか。
おそらく部分練習をした方が早く形を作ることはできると思います。でもそうやって音楽的な喜びを我慢しながら形を作ると、音楽の生命が失われる事があるかもしれません。かといって、たくさん間違えながら何度も何度も通していると自分でもその曲が嫌になってしまう可能性もあります。
そう思うと、一つのやり方に固執するのが一番危険かもしれません。
練習をする時は、その曲をいつも新鮮に楽しめるようにアプローチを柔軟にいろいろと工夫していく必要があるのだと思います。